日本実業出版社発行の経営者会報で紹介されました2003.10月号
ニッチ企集の“多角化”戦略
自社のもつコア技術を磨き顧客からの多様な要望に応える

ファースト電子開発且ミ長伊藤義雄

社長以下四名という小所帯のファースト電子開発は、設立以来、一貫して開発型のメーカーとして無線・電子応用機器を製造してきた。この無線技術を活かして世界的にシェアの高い製品も手掛けているが、基本はニッチ。狭い市場を意識した戦略を採りながら、顧客ニーズに合った製品づくりに知恵を絞っている。


あえて二ッチ分野にこだわった事業展開
伊藤義雄社長は言う。「当社は、大企業が参入しない分野にこそビジネスチャンスがあると思い、ニッチともいえるさまざまな分野の製品を開発してきました」
実は、伊藤社長があえてニッチな分野にこだわるのは、設立後のある出来事に大きな影響を受けたからである。
学生時代からアマチュア無線の趣味をもっていた伊藤社長は、大学でも電子工学科に籍を置き、すでに無線の送受信機の設計が全部できるまでになっていたという。大学を出て入社した大手電機メーカーでは、レーダーの設計を担当したが、アマチュア無線そのものは、 依然として続けていた。そのため、独立してまず手掛けたのもアマチュア無線の関連機器だった。
「私は、長年の経験から、従来あったアマチュア無線機器にはどういう機能が欠けているのかを熟知していました。そこで、マイクに入った音声を増幅させるオーディオコンプレッサーという機械をつくり、73年に売り出したのです」(伊藤社長。以下、発言は同氏)
この製品の広告を専門誌に載せたところ、驚くほどの反響を呼び、発売後、3か月ほどで全国の販売店に行き渡るようになったという。さほど高価なものでもなかったが、月に1000台も売れるようになった。
その後、十数機種におよぶ新製品を世に送り出し、売上は順調に拡大していったが、そのうち国内や台湾で製造された類似製品が出回るようになった。それらは同社の製品と機能面でほぼ同等だったが、 価格は低く押さえられていた。結局、同社は、後発メーカーとの価格競争に敗れ、この業界から徐々に撤退することを余儀なくされたのである。
「売れる製品をつくれば、後発メーカーが、その市場にビジネスチャンスあり、と見て参入してくる。そうであれば、少量しか出ないものをつくれば、真似をされることはないはずだ。 そんな教訓をこの出来事から学んだのです」
まだ「ニッチ」という言葉もなく、世の中は″少品種大量生産≠フ時代ではあったが、伊藤社長は「ニッチ」に徹することを決断する。以来、同社は、大きな市場になりそうな自主開発製品を避けるとともに、顧客からの開発依頼品や試作品にも力を入れるよう方針を転換した。
アマチュア無線機器から完全撤退するまでの間、引き続き同機器は扱っており、専門誌への広告掲載は続けていた。 同社への問い合わせのなかには、製品の注文のほかに、「こんな製品をつくってもらえないか」という依頼も含まれていた。伊藤社長は、こうした声に積極的に応じるようにしたのだった。
「実は、電子機器の分野では、下請け企業は多いものの、当社のような開発型の企業は珍しいのです。そのため、専門誌を見た顧客や販売店から、少量品の開発を、という声が常に寄せられていました」
開発依頼品・試作品であれば、リスクは少なくてすむ。そして、そのなかから、確実にニーズのありそうなものに限って量産する、というやり方を同社はとったのだ。
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