ISO取得は中小企業にとって本当に役立つのか
「中小企業にISOなど必要ない。 ISOに費やす資金があれば他にもっと有効に使える」
無線や電子応用機器開発で高い技術力をもつファースト電子開発(東京都北区)の伊藤義雄社長は、そう断言する。
同社はスポーツ競技用タイム計測装置をはじめ無線・電子応用機器をヨーロッパなど海外に輸出しているが、海外の取引先からIS〇の取得を要請されたことは一度もないという。
「EU統合によって″CEマーキング″は必須になり、苦労しながら認証を取得しましたが、ISOについては取引先から話題が出たことすらありません。ISOを取らないとヨーロッパに輸出できないなどと脅すコンサルタントもいますが、とんでもない話ですよ」
CEマーキングとは、EU連合域内で販売される製品について電磁波や安全性、技術仕様を定めたもので、1996年から施行された。 EUへの輪出にはCEマーキングの取得が不可欠になっている。
伊藤社長は施行当時、旧通産省や関係機関にCEマーキング取得の方法を間い合わせたが、明確な回答をもらえず、仕方なくEUから書類を取り寄せて、四苦八苦しながら一年かけて取得したという。
「一方、日本の大手企業は現地で簡単に取得できたため、この間に日本の多くの中小企業が閉め出されることになり、大手に市場を奪われてしまいました。同様にISOもヨーロッパが日本企業を閉め出すためにっくったものを、日本の大手企業は下請けの中小企業を整理する口実に使ったのだと思います」
つまり系列の親企業がISO 取得を下請けに強要することで淘汰を狙ったのだという疑念を伊藤社長はもっているわけだ。
いまや、大手企業だけでなく、地方自治体や中央官庁まで入札の条件にISO9001 やISO14001を求めるようになっている。 |