TSR情報 ベンチャー訪問
世界が認める実力派・開発型メ一カー
ファースト電子開発(株)・東京都
「中小企業は8本のまごころ、 世界の宝」―政策研究大学院大学、 橋本久義教授の持論だ。ファースト電子開発鰍焉g宝”の1社といっていいだろう。
同社は無線、電子応用機器、 マイコン制御、lCタグシステム等をコア技術として、開発から製造まで一貴して手がける開発型メ一カーである。最近は同社の技術を求めて大企業からの発注や提携案件が急増しており、来年には字宙航空研究開発機構(JAXA)に納めた同社の無線通信技術(人工衛屋)がH2A口ケットに乗つて空を飛ぶ。 実積は多すぎて書ききれない。 1つだけ挙げると、スイスの時計メ一カー・タグホイヤ一向けに開発し、 OEM供給しているスポーツ競技用タイム計測装置がぁる。 欧州スキ一連題の国際コンぺに応じたもので、 一騎打ちとなったロンジン・グループを退けている。20年近く前の話だが、 ここからファースト電子開発は世界的に高い評価を得るようになった。
「でもね、私は商売が下手で、いつまでたっても会社は大きくならない」と、伊藤義雄社長は苦笑する。
訪ねた事業所は20坪ほどのマンションの1 室、スタッフは5名と確かに小さい。しかし実は強い会社だ。 常々、伊藤さんはこう明言している。「うちは売上-仕入とも約束手形による取引はしません。 どんな大企業でも同じです」、あるいは「私は、お客様は神様とは思っていないんですよ」。
顧客相手にも平等主義を貫く。
「威張って、金はいくらでも出すから早くやれ、 なんていうお客は断っちゃう。 われわれは一生懸命仕事をしていい物をつくる、 お客さんも探し求めた末にうちへ来る。お互いに尊敬しあい、感謝しあって仕事をするのがうちの商売のやり方です」。図画や仕様が固まっていて、他の加工メ一カーで間に合うような仕事も請けない。アイデア段階からの提案型の開発が主だ。量産が決まれば同社の協力工場が対応する。
開発体制についても一味違う。アイデアから納品まで、 1つのプロジェクトには1人のスタッフが全てに開わる。分担方式ではないのだ。
「リストラで退職した大企業出身のエンジニアを雇用したことがあります。 確かに狭い範囲の技術は高度ですが、 それ以外ではまったく使えない。分担制では人は育ちませんね」
人材側の同社に対する開心も高まっている。 国内外から優秀な人材が同社で仕事をしたいと応募してくる。小さなファースト電子開発も“大きくなる”時期を迎えたようだ。
会社名
ファースト電子開発
住所
東京都板橋区清水町79-2-203
企業コード 29-297501-5
代表者
伊藤義雄社長
電話 03(5248)6644、FAX 03(5248)664
URL http://www.first-ele.co.jp
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