東京発・宇宙への旅:/5 マンションの一室で通信回路開発 小学生時の夢かなう 毎日新聞 東京版 2015年01月08日 で弊社を紹介頂きました。 <東京発・宇宙(そら)への旅> ◇伊藤社長「基礎が大事」 都心のマンションの一室で、宇宙開発の要となる電子回路の開発から設計、製造まで行っていたと聞いて信じられる人はどれだけいるだろう。ファースト電子開発(本社・北区上十条)の板橋区清水町の事業所はまさにそれだ。社員4人。社長の伊藤義雄さん(73)は、日本の無線技術の第一人者の一人だ。【近藤浩之】 もともと宇宙少年だった。小学4年の時、祖父に連れられて見た映画が「タイトルは忘れたが宇宙探検もの。以来、宇宙に非常に興味を持つようになりました」。ボール紙を丸め、虫眼鏡のレンズで手製の天体望遠鏡を作った。「大学に入り、家庭教師のアルバイトでやっと望遠鏡を買った時はうれしかった」 宇宙に関わる仕事が夢だったが、当時の日本には、まだ宇宙産業は育っていなかった。アマチュア無線が趣味で、高校時代に無線機を自作、大学も電子工学専攻だったので、技術を生かそうとメーカーに入社した。日本初の船舶用小型レーダーの設計に携わった末に3年で独立し、今の会社を設立した。 開発、製造実績は実に多岐にわたる。中でも無線を使い、スタート信号を1000分の1秒以内の誤差でゴール地点に伝える競技スキー用の計測システムは、海外メーカーにOEM供給し、世界シェア7割に及ぶ。さまざまな競技の五輪予選でも世界標準という。 ◇ そんな伊藤さんに、宇宙開発事業団(現宇宙航空研究開発機構)から仕事の依頼があったのは2003年。若手職員の育成などを目的にした小型衛星「マイクロラブサット2」の通信回路の開発を頼まれたのだ。母衛星の背中に宇宙で切り離す四つの子衛星を載せた構造。「母衛星が軌道に乗った後、母子間で“健康状態”を話し合い、タイミングを見て切り離すためのシステムの開発でした」という。月や惑星探査にも生かせる重要な技術だ。 電波を熟知した伊藤さんは考えた末、通信に短波帯を採用した。「地上と衛星との間の通信には通常、大気上層の電離層を通り抜けるUHFやVHF、マイクロ波を使う。短波は電離層ではね返されるので、宇宙の衛星同士の間で使えば地上から妨害が入らない」と説明する。 (外部リンク)毎日新聞ニュースサイトの弊社紹介日の記事へ |